ブログを体験してみる

はてなダイアリーの創設時期からブログを体験してみようと書きはじめてながい年月が経過した。

おとといは「気軽にエッセイ」の受講日だった。

あとで自分で読んでも面白くない内容だった。


仙骨という骨のはなし                  中村克博


ヨガをやり始めてもうすぐ五年になる。脳梗塞の後遺症から体の機能を回復させようと思ったのが切っ掛けだった。救急車で運ばれて一ヶ月入院していた。退院してもまだ走れなかった。散歩で五〇メーターほども歩くと足がふらついてしゃがみこんでいた。自転車ならいいだろうと試してみたが幼児が初めて二輪で運転するように転んでしまった。運動感覚などの詳しい知識がないのでわからないが必要な神経がブロックされているか記憶の累積がリセットされたような感じだった。階段は昇り降りできるが林の凸凹道や沢の石から石をを歩くのはできなかった。椅子から飛び降りるのもできなかった。これからの人生は読書三昧になるのか。それもいいだろうと一時は納得していたほどだった。その様子を見てか、娘が家から近いヨガの道場を探して連れていってくれた。それから五年になる。運動機能は元通りに回復している。体力も年齢相応だと思う。犬と一緒に林の中を駆けれるし、木にも登れる。高い塀からだって飛び降りれる。脳梗塞になったのを忘れているほどで、ありがたいことだと思っている。

 ヨガには習熟に応じていろんなポーズがある。五年もやっていれば少しばかり高度なポーズもできるが目的は非日常な姿態を楽しむことではない。健康を維持すること、長年の仕事の姿勢や生活習慣などで歪んでいる骨格や筋肉や靭帯を修正して本来の状態にすることだ。そのために古代からインドに伝わる様々な修正業法がある。修正が正しくできれば結果としてヨガのいろんなポーズができるようになる。子供の頃なら誰でも出来ていたはずの格好なのだ。いきなりヨガのポーズをしてはいけない。無理をして危険ですらある。

 人類の祖先はその昔、犬や猫のように四足で歩いていたらしい。もともと動物は自分の体を四本の足で支えているのだが人類だけは例外で二本の足で直立している。そのために背骨は地面に平行だったのが垂直になって体の大部分の重量を骨盤の中心にある仙骨で受け止めている。法隆寺などの五重塔の心柱の構造と良く似ているではないか。心柱は躯体構造の要だが基底にある基礎石は地中にある場合、地上にある場合、また心柱が基礎石に着かずに宙ぶらりんの構造もあるそうだ。五重塔はこれまで地震で倒壊した例はない。この理由についてはまだ判っていないようである。六三四メーターという塔を現代の技術で建造したスカイツリーは最新技術が伝統的工法を参考にしいるのだが、この制振システムを五重塔になぞらえて、「心柱制振」と呼んでいるそうだ。
人間、生きていれば長年の癖で骨格の構造は歪んで変化している。筋肉は固く縮んでいるし、余分な脂肪もたまっている。普段はやらない手を上に上げる動作や足を後ろに蹴り上げる動きは出来にくい。上半身の前屈や左右の回転をすれば腰骨の四番あたり一箇所だけを使ってしまう。そのような状態ではいきなりヨガは出来ないのはもちろんだが準備段階の修正業法も安全のためにしばらくの期間はヨガマットに寝転んでやることから始めたほうがいいと思う。体をほぐして、ゆるめて、ひらいて、のばして、ながして、とおして、と五六年もやっていると面白い発見がいくつもあった。

そのうちの一つが仙骨の重要性だ。まずは仙骨、ここを修正して健全に努めなければと思う。なにしろ五重塔の心柱を支える基礎なのだ。ここがいい加減では心柱の背骨がいくら正常でも困ったことになる。仙骨は脊柱を受けているだけではない。人の体は二本の足で立っている。足の付けの大腿骨は寛骨と接合して股関節を形成する。そしてこの寛骨は腸骨などと一体となって仙骨に接する。ということは体の上半身の重みは脊柱で仙骨が受け、さらに大腿骨で支えている体重は股関節を経由してやはり仙腸関節仙骨が受けることになる。この仙腸関節は強くてしなやかな靱帯でつながっている。本来はちょうつがい状の仙腸関節は前後に開閉するだけでなく上下にも柔軟に稼働する。靭帯で出来ているので柔構造なのだ。体の重みを固定した基底で受けるのではなく本来はバネのようにしなやかに支えているはずなのである。
仙骨の 「 仙 」 の字は、仙人の仙。フランス語では、sacreが、「仙骨の」、という意味で、この言葉は、ラテン語のsacrum 、「聖所」という言葉を語源に持ち、「神聖な」、「聖なる」という意味でよく使われる。さらにドイツ語では、kreuzbein beinが「骨」で、kreuzは、「交差点」、「キリストの架けられた十字架」という意味がある。また、英語では、やはり、sacred boneやsacrum、と書くようだ。とインターネットで調べて分かった。
この仙骨の歪みを修正して元気に生き生きとするする方法はたくさんある。仙骨をほぐせば体が穏やかになる。気持ちがいい。頭がすっきりする。やればやるほど著しい変化に気がついてくるが、なぜいろんな効果があるのかはわからない。どうやってやるのかも言葉では伝えられない。ヨガはやはり密教なのだろう。やればわかるがやらなければわからない。呼吸と気の流れのようなものと関係がありそうだ。やはりヨガのことを言葉にするのはむつかしい。


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