2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧
貝原益軒を書こう 六十二 中村克博 朝日が高くなるほど行き交う人は多くなった。にぎやかな町を出て、すぐに新しい長屋が何列も並んだ居住地が見えてきた。煙がただよっている。荷車や人の動きが見える。このオランダが提供した居住区の中ほどに一軒だけ塔屋…
貝原益軒を書こう 六十一 中村克博 根岸と柳生の松下はでゼーランジャ城を出て小舟で対岸の街に向かっていた。小さな帆掛け船が向かう方に朝日が低く眩しかった。佳代が根岸に寄り添うようにしている。船べりを横に長く渡した板が椅子になって座っていた。舟…