八木山から高速道路を経由して3時間ほど、玉名の待ち合わせ場所のレストランで合流した。
みんなで食事のあと、目的の旧家に着いた。さっそく刀箱が運ばれてきた。箱には刀が二本入っていた。
奥さんが座卓の上に新聞紙をひろげた。不吉な忌まわしいものを扱うように…
一振りは二尺三寸あまり、直刃の細身の太刀だった。国光の太刀銘が切ってあり目貫穴が銘の上にある。
箱嶌さんは事前に調べていたが、いずれの刀も名刀だった。申請すれば重要刀剣以上になる文化財だ。
箱島さんの刀談義を聞いて、不承不承だった奥さんも価値ある美術品の愛好家に変わっていた。