ブログを体験してみる

はてなダイアリーの創設時期からブログを体験してみようと書きはじめてながい年月が経過した。

インフルエンザが一発で治った。

昨日の午前中はエッセイ教室だった。

 

 

インフルエンザが一発で治った。            中村克博

 

 

 先週のはじめ二日ほど頭がボーっとして胸に違和感があった。それに体がだるくて熱っぽい。妻がそれはインフルエンザだと言う。僕は「違うちょっと疲れただけだ」と言った。妻が体温計を出してきて体温を脇の下に押し込んだ。ピピッツと電子音がすると素早く体温計を取り出して僕には見せない。それからときおり思いつくように何度も僕の体温を測る。きっと期待する温度ではないのだろうと安心していたら、測るたびに熱は上がったようで(案の定と)体温計を見せられた時には三十八度九分もあった。妻は僕を車の助手席に押し込んで(有無を言わさずに)峠を下りたすぐにある新しい病院に連れて行った。

問診票を書いて受付をすますと隔離するように個室の診察室に案内された。暖房が効きすぎた明るい部屋には誰もいなかった。診察机と椅子、それに向かうように患者の椅子と横に幅の狭いステンレス製のベッドがあった。腕時計を何度も見て待っていると、太り気味の看護婦さんが落ち着いた笑顔でやってきて体温と血圧を測定して出て行った。それからしばらく待たされた。雑談もできないし、(あいにく)本の持ち合わせもない。妻は本の準備をしていたようで黙ってページをめくっている。この部屋には奥にもう一部屋ある。(手持無沙汰の)僕は席を離れて電気のついていない薄暗い部屋をのぞいた。妻の咎める声がした。ベッドが鈍く光っている。机も椅子もないがテレビモニターのある診察器具が見える。トイレの印のついたドアがあって、その横に洗面所があった。洗い物ができる流しもあるようだ。急患を運び込んで応急処置をする部屋になるのか、と思った。

椅子にもどってしばらくすると髪の明るいほっそりした看護婦さんがやって来て、僕の鼻の穴に長い綿棒を差し込んだ。僕は思わず「あ、イタッ」と言った。看護婦さんは笑いながら綿棒の先を見ていたが、もう一度、こんどは左の穴に(ためらうことなく)グイと綿棒を差し込んだ。僕は「あ~、あぁ」とうめいた。横目で見ると妻が笑っているようだ。涙が出た。細身の看護婦はさっきより確実な手ごたえを得たように綿棒を持って出て行った。

まもなく礼儀正しいノックの音がして若い医師があらわれた。僕は机の横の椅子を空けようとすると、好青年はそのままで結構ですと立ったままで自己紹介をしてお辞儀をした。検査の結果はインフルエンザの「A型」だという。僕は先生に椅子を譲って妻が座っていた椅子に座りなおして姿勢をただした。妻からうつったのかと思ったら、そんなことはない潜伏期間からいって、ここ数日前に感染したそうだ。特効薬があるので一回飲めば一日で完治すると説明して、僕にマスクをするように言った。(今度は僕が人にうつさないための配慮のようだ。)

家に帰って食事のあと病院の指示で薬局から支給された特効薬を飲んだ。米粒ほどの白い小さな薬が二個だった。早めに寝て翌朝にはほんとうに熱は下がっていた。医学の進歩はすごい。なぜだか貝原益軒先生に悪い気がしている。

平成三十一年二月十三日

 

今日の午前中はお茶の稽古だった。

稽古相手の従兄弟が旅箪笥のお点前を始めた。

僕は初めての体験だった。

f:id:glucklich:20190216181954g:plain f:id:glucklich:20190216182020g:plain