きれいな紺碧の朝だった。一片の雲も見当たらなかった。
よく降った季節は過ぎた。
水害の警告や情報を知らせる無線の拡声器もしばらくはお休みだ。
居合道の剣士たちは電車で博多から木戸駅にやってきた。
車2台で迎えに行った。
斬試用にわら束を巻いて水に漬けて、事前に用意してあった。
山でも梅雨明けの日照りは暑い。 袴姿に帽子、幕末のモダンな侍のようだ。
女性剣士は上段から右袈裟に、 師範は下から切り上げて、
かすかな刃音がして一瞬に巻藁が切られる。芯の竹も一緒に切れているようだ
難しい横一文字も手練た剣士は難なく一太刀にする。
さらなる工夫を宗家が指導しているようだ。
すばらしい、 初心者の僕には言葉が無い・・
僕もいつかは、こんな風に切れるといい・・ 今やれば刀が曲がる。
宗家が切り口の検分をしていた。
皮一枚を残して斬る。名人の技のようだ。
事前に宗家と打ち合わせて、師範が大きな孟宗竹を切った。竹はゆっくり倒れて行った。
刀の曲がりを調べていた。
三段の腕前の先輩が大きいのに向かった。切れたら奥さんに写真を届けると言ったが、
小さいのに取り換えた。 やはり熟練者は思慮深い。 あれ!.. もう着替えてる。
女子部長さんは長いのを上から順に切っていた。
宗家が少し指導すると更にうまく切れるのは不思議だ。履物がそろえてある。
斬試のあと囲炉裏のまわりで食事をした。グリュックもやってきた。
聞き訳がいいし、言葉が解るので直ぐに人気者になった。
僕は試し切りは下手でも、鼻が高くなった。