昨日の第一金曜日、午前中はエッセイ教室、夕方は居合の稽古だった。
先月から、エッセイ教室も居合の稽古も再開されている。
コロナ騒動の折だが、居合の稽古に小学生の入門者があった。
高段者が奥のほうの技を練習する近くで、新入りが作法を教わっていた。
エッセイ教室に、石垣の作業を題材にした。
空き地を畑にする 中村克博
ちょうど一年前、老朽化した物置を解体した。なつかしい思い出がある建物だったが解体が終わると僕の部屋から遠くが見えるようになった。風が通って清々しい。その空き地に畑を作ってみようと思った。
友人の土建屋に相談するとユンボをトラックで運んできた。長らく現場の仕事からはなれたご隠居だが重機の操作は衰えていない。見る見るうちに土地の半分を六十㎝ほどの深さで掘り起こしていった。掘り起こした土は残る半分の土地に重ねていく。土の中から石がごろごろと出てきた。
大きな石はユンボの爪で掘り出して土地の隅に並べていった。人が抱えられる石はユンボの動きに注意しながら僕が土地の外に出した。僕は何とかユンボの動きに遅れまいとするが足腰がついていかない。この土地は地山を整地したのだが、なぜこんなに石が出るのだろうと思った。ユンボのエンジンを止めて一休みした。掘り起こしたデコボコ土を木陰に向かって歩いた。二人とも疲れて足が土くれにとられそうになる。年取ったなぁ、と互いに目がほほえんでいる。
モミの木の下にすわった。
「なんで、こげん大きな石が出てくるんやろか」
土建屋のご隠居が水を一口飲んで、
「だいたい山ン土の中には石やら岩があるな」
「なしやろか・・・」
「わからん・・・ 赤土の山には石は出んごとあるな」
「そうですか、この土は畑にいいやろか」
「小石を拾うて、堆肥やら牛糞をいれて土つくりすりゃ、いいよ」
「いよいよ耕運機ですね、まえから耕運機を使うてみたかった」
土地の中から出た石で畑のまわりに石垣を積み始めている。夕日が落ちる前の二時間ほどだが楽しみになった。始めて二週間も過ぎるころ体が慣れて来た。要領もよくなって高さ三十㎝ほどの石垣が十五mくらい形をあらわしている。石垣ができると小石を取り除く作業があるが、それがすめば耕運機の出番だ。今年の冬野菜は間に合いそうにないが、来年の春には一面のレンゲを咲かせよう。
令和二年七月三日