いい天気で春のように暖かい一日だった。
西の浦漁港に出た。 これまでに何度も通った道なのに今日も行きつ戻りつ迷い道・・
途中に唐津焼の窯元があった。
入ってみた。 展示場には誰もいない。
変哲もない・・ と思って見ていた。 そろそろ出ようかと思ったら・・
奥からおばあさんが出てきた。お茶を入れながら、
客が目をとめて手にする作品の説明をしてくれる。その話がおもしろい・・
「な、なんん ・・ 三千二百円と違いますか」 と思わず言ってしまった。
「あんたにゃぁ、わからんたい」・・・はっ、はっは・・ と大きな声で返した。
「な、なんで・・ この土くれが・・・ もう、どろぼうばい」と言った。
「高級料亭で、それに刺身を3切れほどのせて、だすたい。
あんたにゃ、わからん、わからん」と面白がっているようだ。
お茶がはいった。 変哲もない味で、美味しかった・
茶の湯の道具は見るだけにして、手ごろなコーヒーカップを選んでもらった。
迷い道で、いい思い出ができた。
焼き締めは登り窯で温度の高い焚口近く、限られた場所に入れて焼く、
いまだに、うちのおじいさんしかできないが、それでも思ったようには
ならないし、割ってすてるのも多い。薪は地物の松を等質に整えている。
おばあさんの懇切な説明が続いた。
伝統は奇を衒わないのだろう。守り伝える事なんだ。と思った。
お店を出ると息子だろうか、登り窯の手入れをしていた。
おみやげに、白菜の漬物とたくあん漬けを上げてくれた。