いつもならすぐに食べ始めるのに、口に頬張って歩き始めた。
長いこと銜えて歩いていた。彼岸花が雨にぬれていた先で、一休みした。
それから、また歩き出した。なんとなくグリュックの意図がわかった。
ラルの家に着いた。少し時間をおいて僕はゲートを開けてやった。
フェンスから出てきたラルの前に柿の実を落として、じっとラルを見ていた。
ラルは柿の実を道のはしに運んで食べ始めた。
グリュックはラルが食べ終わるまでじっと見ていた。
ラルの飼い主は数日留守していない。散歩とエサを頼まれている。