できるだけ元の色に近いものにお願いした。
いい感じになった。柄縁は平家物語、一の谷で平敦盛最後の場面のようだ。
柄頭は熊谷直実、「敵に後ろを見せるのは卑怯でありましょう、お戻りなされ」と呼び止める。
脇差は青江、鯰肌とか松皮といわれる地肌がみえる。
古い錆がすこしあるが、そのうち砥ぎにだそう。
直実は敦盛を組み敷くが、見れば美しい若武者で我が子直家と同じ年頃。
直実は名を尋ねる。できればお助けしようと思ったらしい。ところが・・・
「お前のためには良い敵だ、名乗らずとも首を取って人に尋ねよ」と言ったそうだ。
後年、織田信長が好んだといわれる
「人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり。一度生を享け滅せぬもののあるべきか」
は幸若舞の『敦盛』の一節であるらしい。